前のページへ

 次のページへ


目を守るプロフェッショナルを養成するために

見城 私たちは近視や老眼などを意識するようになって、メガネとのおつきあいが始まります。特に近視が多い日本人には、メガネは縁深いものですね。今日は、お二人に大切な視力を守るための活動や、その具体的な内容をじっくりと伺いたいと思います。

森  私ども協同組合オールジャパンメガネチェーン(以下AJOC)は、昭和33年、同業7社の連合から始まり、現在は全国32社、620店舗の加盟店をもっています。活動内容の主軸は商品、教育、販促などにおける、個々のメガネ店の体質強化・体力増強を目指しています。商品の共同開発・提供はもちろんですが、とりわけAJOCの基本方針であるビジョンケアを推進するのに必要な「教育」には重点を置いています。

見城 教育の具体的な内容はなんでしょう?

森  昭和53年に、キクチメガネで全国唯一の4年制のオプトメトリスト(検眼士)養成学校「キクチ眼鏡専門学校」を開校しました。開校と同時にAJOC加盟店へ学校主催の通信教育や、AJOC主催の検眼教育をはじめ、メガネづくりのトータルな教育支援体制を固めています。

津田 私どもの社団法人 日本眼鏡技術者協会(以下日眼協)は、その前身となる団体からの活動等を含め、日本ではまだ国家資格とされていない「眼鏡士」を認定し、メガネ業界における技術者のスキルアップに貢献することを目的としています。

見城 津田会長ご自身、アメリカに留学されてSSSという認定眼鏡士として最高級のクラスを取得されていますね。

津田 日本はアメリカやカナダに比べて、メガネにおける国家資格への取り組みはまだまだですね。これが、日本のメガネ店のレベル格差を生んでいる原因のひとつだと思います。

見城 それでは、AJOCと日眼協の接点・交流、今後の協力体制はどの様になるのでしょうか。

森  双方の考え方は、お客様にとって良いメガネをつくるということで共通しています。AJOC関係のグループも「認定眼鏡士」としてかなりの人が登録しています。

津田 AJOC関係では現在800名以上が登録されていますね。

森  そうです。それから「認定眼鏡士」は毎年教育を受けなければ資格を更新できないようになっていますから、私どもの教育機関を通じて、生涯教育へのマンパワーについても可能な限り応援できるよう対応していきます。

見城 今まで消費者は、どこで専門家と判断すべきか明確でなかったと思うんです。ですから、ビジョンケアという発想もいまひとつ伝わって来なかったですね。

森  ビジョンケアとはメガネをつくるときに一番大事なのは、単に良く似合うとか格好いいとかだけでなく、楽によく見えることです。その人に一番よく合ったメガネをつくるために、総合的にお世話することがビジョンケアだと私は思います。ある瞬間だけよく見えるが一日かけていると頭が痛くなるのでは駄目です。

津田 ビジョンケアの内容はさまざまで、例えば「よく見える」とは何か。運転やスポーツをする人は、1.0以上見えた方がいいが、家でテレビを見るだけで0.7位の視力で充分な人には、1.0ではかえって強過ぎるかもしれない。その人の生活の必要性に沿った視力を選ぶことが必要です。また、目とレンズの距離や角度が違うと、見え方に影響がでます。メガネをちゃんと顔に合わせることも大事ですね。

見城 それがきちんとできる人という意味で、認定眼鏡士の資格が明確になり、認定眼鏡士資格保有店であれば信頼して任せられ、相応の満足が得られます。「三ツ星レストラン」のように単純明解ですね。



さらに広がりをみせるビジョンケアの展開

見城 実は検査の仕方ですけれど、ぜひ申し上げたかったことがひとつ(笑)。検査用レンズを替えて「前と今と、どっちが見やすいですか」とか「赤と緑、どっちがはっきり見えますか」って判断は、大人でも難しい。初めてメガネをつくる小・中学生とか、高齢者はなおさら難しいと思うんです。そういった改善は例えばコンピューターでできないんですか。

森  それには目に光を入れて反射を見る「他覚的検査」という方法があります。ただ、本人がよく見えるかどうかは、結局自分で判断する「自覚的検査」で確かめることが必要なんです。

見城 キクチメガネさんの場合、視力データを作成されて、お客様一人ひとりのライフスタイルなどすべてを含めてメガネづくりの指標にされていますね。

森  そうですね。まず、視力は年齢により変化が早い時期と穏やかな時期があります。中学・高校くらいでは受験勉強で目を酷使しますから、1年または半年に一度の検査が必要です。24〜25歳を過ぎますと、近視の場合はある程度安定しますので、2年に一度でもいいです。それで40〜45歳を越えますと今度は老眼になり、やはり毎年の検査が必要になります。

津田 私は先日、NHKの全国ネットの番組に出たんですが、それ以後、遠くから問い合わせがあったり、東京・大阪からわざわざ来店してくださる方もあります。不満があって、もっと快適なメガネを求められる潜在的なお客様は実に多いんです。それは、誰にでもメガネをつくれるような状況を放置してきた業界にも責任の一端があると言えます。

見城 あと、低年齢からパソコンを使う時代ですが、あれはすごく目が疲れますね。そういった問題への対応もぜひしていただきたいと思います。

森  そうですね。それにはお子さんも早くから視力の相談に来ていただくことも大切ですね。

見城 AJOCでは、全国どこでも加盟店なら検査は無料でやっていただけるそうですね。

森  はい。また、以前つくったメガネのデータも加盟店どうしで連絡してすぐ、お知らせできるようになっています。



眼鏡技術者としての努力を絶えず続けていくことが大切

見城 現在の高齢者対策として、例えば両団体を通じて何かボランティア的な活動を行われたりしているのでしょうか。

森  まだ多くはないですが、老人ホームや独居老人を訪問してメガネのプレゼント、お手入れ等をしています。今後もっと増やしていきたいと思います。

津田 日眼協は公益法人であり、社会に何かを還元する事業を行う義務があります。その社会福祉事業の中にあるのが、身体障害者や高齢化で視力を失った方などへの援助ですね。例えば施設に入った方に対して、全国10ブロックに分け予算を割当て、視力の補助具等の寄付をしています。

見城 例えば耳が不自由な方への対応はいかがですか。

森  AJOC加盟店では個人的に興味のある者が手話の勉強をしています。そうした傾向は増えつつあると思います。

見城 例えば手話通訳の団体に声をかけるなど、両団体にも積極的に動いていただけるとうれしいですね。

津田 私は、例えば眼鏡技術者に勲章を与えるとしたら、いかに多くのメガネを売ったかより、いかに一人のお客様の視生活を満足させたかによって与えるべきだと思います。消費者の方にも、ぜひそうした基準を持っていただいて、メガネ店を選んでいただきたいですね。

森  情報化社会の中、目から入る情報はその8割くらいを占めています。それだけ視力は大切なのです。最近は、安さだけでメガネを売るところもでてきましたが、私たちには確かなビジョンケアこそ必要なんです。いい加減な視力検査でメガネをつくれば、何よりも目に悪影響を及ぼします。やはり確かな店を選んできちんと目に合ったメガネをつくっていただきたいですね。

見城 そうですね。メガネの価値は、ただ値段が安ければいいのではなく、本物の技術に裏付けされていなければなりません。値段に変えられないビジョンケアの大切さを、おおいに実感しました。今後の両団体の一層のご発展に期待しています。本日はありがとうございました。


 前のページへ

 次のページへ