メガネ作りのステップ

検眼

正しいメガネができるために、もっとも大切なのは検眼です。検眼は問診→視力検査→予備検査→他覚検査→自覚検査→両眼視検査→装用検査の順序で進められます。

問診

あなたがどういう理由で検眼を受けに来られたのか、目や体の状態はどうか、どんなお仕事なのか、趣味は何かなど、できるだけ詳しく質問します。これは検眼を進める上で、大変参考になります。また、お子様であれば、日常生活の中で気がかりなしぐさなども両親と話し合います。

視力検査

裸眼視力(メガネやコンタクトレンズを使わないときの視力)の検査は、その人の屈折度数と深い関係があります。視力からある程度、度数を推測する事もできます。また使用しているメガネなどを使って視力を検査します(矯正視力)。子供は視力が悪いと母親にしかられるのではないかと、視力表を覚えてしまったり、目を細めて読んだり、勘で読んだりしています。それではせっかくの検査もだいなしですので、これらのことに注意しながら検査を行います。

解説動画「2つの視力?」

千葉県柏市のシミズメガネの動画です

予備検査

主なものは次のようなテストです。

カバーテスト

どのような種類のどれくらいの両眼の視線のずれ(斜視・斜位)があるのかを測定します。斜視の多くは外見からもわかり、両眼視にも重大な影響を与えます。また、斜位は外見上はわかりませんが、潜在的に目がずれる要素があって、フッと気を抜いた時に生ずる目の位置のズレです。これは大きさや種類により時々、両眼視に影響を与えます。

*斜視/視線を合わせても片方の目が別の方向を見てしまっている目。

*斜位/視線が潜在的にずれている人でも、自分の筋肉の力で視線を合わせている目

輻輳近点テスト

人は近くを見るとき、両方の目をよせて視線を一致させて物を見ます。しかし、人によっては目を内側によせたり、反対に外側に開いたりするのができづらい人がいます。このような人は、近くを見ていると目が疲れるとか、頭が痛くなるとかという症状を訴えることがあります。このテストはどれだけ目をよせる力(輻輳力)があるかを調べます。

きき目テスト

きき手(右ききまたは左きき)と同じように、目にもきき目があります。それでどちらの目の方がより得意なのかを調べます。

他覚検査

角膜湾曲検査

角膜(くろ目)の状態を調べます。乱視のほとんどは、角膜の湾曲度の違いから生じるので、この検査をすることによってどれくらいの乱視があるかを予想できます。またコンタクトレンズを作る場合は、レンズのカーブを決定する上で大変重要な検査になってきます。

屈折検査

あなたの意志に関係なく、目にどれだけの度数があるかを機械を使って他覚的に検査します。とくに子供など自分の意志がはっきり伝えられない人にとっては最も優れた検査法です。また、一般成人にとっても次の自覚検査の前段階として欠かせない検査です。

自覚検査

検査を受ける人の自覚にそって、よく見えるまたははっきり見えるなど、レンズを変化させて度数を決める方法です。これには乱視の検査やバランスの検査(左右の目のピント合わせが同じように行えるか)などが含まれます。指示に従って、ありのまま答えるようにしてください。

両眼視検査

両眼視が正しく行われているかをみるために以下のような検査を行います。

●左右の目を同時に使っているかどうか(同時視)
●左右の目からきた情報を脳で1つにまとめられているかどうか(融像)
●まとめられた情報から景色などを立体的に見る能力があるかどうか(立体視)

自覚検査

検査を受ける人の自覚にそって、よく見えるまたははっきり見えるなど、レンズを変化させて度数を決める方法です。これには乱視の検査やバランスの検査(左右の目のピント合わせが同じように行えるか)などが含まれます。指示に従って、ありのまま答えるようにしてください。

装用検査

今までの他覚検査、自覚検査を通し測定された度数は、非常に正確です。しかし、この度数が必ずしも快適なメガネとして使用できるかというと、そうとはいえません。テスト用のフレームにレンズをセットし、装用感を試した上で、最終決定するのが普通です。「床が浮いたように感じる」「背が高くなったような感じがする」「物がゆがんで見える」など、感覚の異常を訴える人がいます。これは今までとの習慣の違いや個人差などでも異なります。このような場合、少し度数を変えることにより違和感は少なくなります。しかし、そのままでも約1週間から10日くらいで慣れるのが普通です。

フレームとレンズの選定

次に検眼結果に基づき、使用目的に合ったレンズやフレームを選びます。そのためには次のような能力をもった専門家によく相談することが大切です。

●視機能について十分な知識を持っている
●あなたの使用目的について十分話し合える
●好みや趣味などを理解してよく合ったものをお勧めできる
●レンズやフレームに対して幅広い知識を持っている

とくに快適なメガネを調整するためにはフレームやレンズの選定時にも注意しなければなりません。

フレームの選択

最近、メガネもおしゃれの小道具としてとらえる人も多くなってきました。しかし光学的に正しく調整できるフレームやレンズを選ばないと、本来の機能を十分発揮できなくなります。また、度数によってはメガネが重くなったり、レンズ周辺が厚くなり長時間かけていられないというような結果を招くこともあります。メガネは検眼の結果に基づき正しく調整でき、長時間かけても問題なく、さらによく似合っていなければなりません。フレームではとくに鼻の部分の構造は大切なポイントになります。メガネの鼻幅が広すぎるとどうしても下がってきます。また、メガネのテンプル(つる)の長さも適切でなければなりませんし、適度の弾力性も必要です。

レンズの選択

レンズは、フレーム以上に詳しい知識が必要になります。レンズの素材は、大きく分けてガラスとプラスチックの2種類があります。ガラスレンズは、機能面から無色レンズ、ソフトカラーレンズ、光により色の変わる調光レンズ、より薄く仕上がる高屈折率レンズなどに分かれます。プラスチックレンズは、無色レンズ、キズのつきにくい処理をしたハードコートレンズ、カラーレンズ、高屈折率レンズなどに分かれます。その上、レンズの表面の反射防止のコーティングやカラーの着色の組み合わせにより多彩なバリエーションがあります。このように、いろいろな種類のレンズの中から、使用目的、ファッション性、度数の強弱など、もっともぴったり合ったものを選ばないといけません。フレームも遠用メガネなのか、近用メガネなのかによっても選び方が違います。遠近両用メガネの場合には、さらに高度な知識が必要になってきます。これらの点に注意し、専門家によく相談して選定することが大切です。

フィッティングと設計

せっかくよい検眼をしても、レンズの中心と瞳の中心があっていないと、見えにくくなったり、目が疲れたりします。長時間かけていても、メガネと顔が接触している鼻あてやテンプルの部分に圧迫感や痛みがないように、顔にぴったり合わせます。フィッティングは、メガネ調整上重要なポイントです。

調整のポイント

メガネの位置の調整

メガネを正しい位置に調整するためには、鼻パッド(鼻あて)を鼻の角度にあわせ、テンプル(つる)幅を鼻骨の中心から左右それぞれ顔幅にあわせます。またテンプル先(耳にかかる部分)の曲げる角度、頭部に添わせる角度を頭部と耳にぴったりあわせるように調整します。その際、メガネの位置は、美しく見えるとともに、安定感も得られる位置に調整します。

目とレンズの距離の調整

視力検査は、角膜頂点(くろ目)からレンズ裏面までの距離を12mmに設定し行いますので、12mmより広くなったり、狭くなったりすると、レンズが本来もっている度数より、強くなったり、弱くなったりします。そのほかにも、メガネが離れすぎると、視野が狭くなったり、鼻にかかる重量の負担が大きくなります。そこで、左右パッドを調整し、12mmに近付けます。

適切なレンズの傾斜角の調整

レンズの傾斜角は、一般的によく使用する視線位置と直交させるようにします。この視線は一般に身長が170cmの人の場合、通常10~20m先の床に向かいます。この位置が、眼の筋肉のもっともバランスのとれた楽な視線位置で、個人差はあまりありません。この視線は、水平視線より、5~10°下方に傾きます。この視線位置とレンズ主平面を直交させることにより、メガネを快適に使用することができます。

レンズ中心の設計

左右の目と目の距離は個人差があります。またメガネの使用目的や生活習慣によって、よく使用するレンズの位置が違ってきます。そういうことを考慮して、メガネを掛けたときの瞳の位置を測定し、レンズの中心と瞳の中心があうように設計します。

解説動画「瞳孔距離って何?」

千葉県柏市のシミズメガネの動画です

加工調整

加工とは

直径70~80mmサイズの丸いレンズを、フレームの形にぴったり合うようにカットして、フレームに組み合わせることを加工といいます。レンズをフレームの形状通りに加工しても、フレームに対してレンズのサイズが大きすぎたり、小さすぎたり、レンズをフレームに固定させるためのヤゲン(フレームに掘られているV溝と同じ角度でレンズに山を作ること)が、正確に加工されていなかったりすると、レンズがはずれやすかったり、フレームとレンズに負荷がかかりすぎて、壊れてしまう原因になってしまいます。このようなことが、起きないようにするため、フレームとレンズの材質、種類を考慮して加工を行います。最近は、レンズを加工する機械が全自動化されて、調整者の熟練度の必要性が少なくなって来ているといわれておりますが、長期間、快適にご使用いただくためには、確かな技術力と豊富な知識が必要不可欠です。

加工のステップ 

お客様の検眼データの確認

検眼、フィッティング、設計で決定したデータ通りに、レンズをカットするため、決定したレンズの度数、乱視の度数、左右の目と目の距離、フレームに対する目の高さ、使用するフレームとレンズの種類、材質等を加工する前に確認します。加工を行う前に、あらかじめ確認することによって、用途、ライフスタイルに合った、最適ですべての条件を満足させたメガネを調整することができます。

フレーム・レンズの素材の確認

フレームの種類は、メタルフレーム、プラスチックフレーム、リムレスフレーム、ハーフリムフレーム等、いろいろな種類のフレームがあります。レンズの種類は、大きく分けてガラスレンズとプラスチックレンズの2種類です。フレームとレンズの組み合わせによって、レンズのサイズやヤゲン位置、ヤゲンカーブをどのようにすれば、フレームの美観を損なわず、メガネをキレイに仕上げることができるか、見る機能等を最大限に発揮させられるか、こういったことを考慮しながら、レンズをカットします。

フレーム・レンズのタイプの確認

最近は、フレームの上下の幅が狭いもの、フレームのカーブが深くなっているものなどさまざまです。レンズの設計も、単焦点レンズ、累進屈折力レンズ、二重焦点レンズなど、それぞれの使用目的に応じたレンズが開発されております。こういったフレーム、レンズの種類、材質、タイプ等を考慮して加工することによって、光学的(ものを見る機能)、力学的(重量のバランスが良く掛けやすい)、美的(人から見られた時、メガネを掛けていることをキレイにみせる)条件を初めて満足させられますので、多くの知識を持った専門家に相談して下さい。

最終フィッティング

でき上がったメガネをお渡しする際、最終チェックが行われます。

まず外観から見て判断します。正面、上方、側方(左右)、後方から見て、フィッティングされている状態を確認します。

正面

鼻パッドが正しく当たっている

鼻あて(パッド)が、鼻の角度にぴったり合っているか、メガネが傾いていないか、左右どちらかにかたよっていないか、メガネの位置はよいかを確認します。鼻あて(パッド)にはメガネの重量の約70~80%がかかるため、左右の鼻あて(パッド)が鼻側面に合っていないと、部分的に圧迫されたり、片方にだけ圧力がかかってしまい、鼻側面を痛めます。

レンズの光学中心位置が瞳孔中心と合っている

レンズの中心と瞳の中心があっているかを確認します。レンズの中心と瞳の中心があっていないメガネを長時間かけていると、頭痛、肩こり、眼精疲労等、さまざまな装用苦が発生しますので正確に調整します。またメガネが傾いていたり、左右どちらかにかたよっていても、左右どちらかの鼻側面を圧迫してしまいます。

上方

左右の目と左右のレンズの距離が一致している。

上方からは、左右の目と左右のレンズの距離が一致しているかを確認します。片方だけ目に近づき過ぎていたりすると、近いほうのレンズの裏面だけ、まつ毛がふれてすぐに汚れたり、片方の鼻側面が痛くなる原因になります。

左右側方

角膜とレンズ後面までの距離

目とレンズの距離が正しい位置に来ているか、傾斜角はよいかを確認します。目とレンズの距離が近すぎると、まつ毛がふれて、レンズの裏面がすぐに汚れたり、曇りやすくなってしまいます。傾斜角が深すぎると、フレームの下方の部分が頬についてしまい、レンズが汚れたり、重量のバランスが悪くなり、重さを感じやすくなります。

後方

テンプルの曲げが耳うしろのカーブに沿っている

後方からは、テンプル先(つる)の曲げ方が、耳にぴったり合っているか、頭部にきちんと添わせてあるか確認します。テンプル先(つる)の曲げが早いと耳を圧迫して痛みを感じたり、メガネが浮き上がってしまい、正しい位置で掛けられなくなってしまいます。逆に遅いとすぐに下がってきて、しょっちゅう手でメガネを上げてやらなければなりません。

眼鏡の横おさえが適正な圧力である

頭部への添わせを強くしすぎると、圧迫感や痛みを感じてしまいます。  それぞれの見地から、メガネの状態を確認し、長時間使用しても、痛みや圧迫感、すぐ下がってしまう、歪んでかかってしまう、まつ毛や頬が当たってしまう等の装用苦を発生させないようにします。このような調整を行うことによって、快適で長期間安定したメガネを装用することが可能になります。また、メガネの使用上の注意やアフターケアなど、快適にメガネを使用するためのアドバイスがされます。